しりとりコラム。
 今日から一つのキーワードを中心に書いていこうと思う。そのキーワードはしりとり形式で決定する予定。このような試みは、昔、かの偉大な人物中島らもさんが夕刊フジで行っていた。たしか文庫になって出版されているはず。はっきり言ってパクリで、試みとしてはなんの新鮮味もないものである。ようは思いつきです。どう展開していくかは本人もわからない。まあ、好きなことをつらつらと書き連ねていこうと思う。
 初回なのでキーワードは「しりとり」としたいところだが、ベタすぎてやらない。初回は「く」から始まる。「クレクレタコラ」がお題である。
 90年代に入って子供向け番組は洋の東西問わず不条理系が多い。ベタやけど、「テレタビーズ」なんかその代表だ。人形が怖い。とくに地黒の奴。よくわからん展開。去年ニューヨークを放浪してた時、子供が主題歌を唄って上機嫌で5番街をお母ちゃんと歩いていたのを見てその浸透力に驚いた。さすが世界の中心ニューヨーク。人種のサラダボールである。意味不明。そして最近では「ニクロディオン」という幼児番組専門チャンネルは不条理番組のオンパレードだ。俺のお気に入りは「アクションリーグ」である(観た事のない人は是非、スカパーを購入して観ることをお勧めする。元ジャリズムの渡辺の「バカドールシアター」の元ネタだと思う)が、先日そんな物、吹っ飛ぶようなお馬鹿幼児番組を発見した。
 いつものように俺は深夜、スカパーのチャンネルをカチャカチャやっていたら「クレクレタコラ」という番組にヒットを目にした。なんか耳にまとわりついて離れないオープニング曲。「くれくれくれっ♪くれっぺ♪くりゃりか♪くりゃりんこ♪何でも欲しがるクレクレタコラ♪」。オープニングだけで主人公のタコラが何でも欲しがる巨大ダコだとわかる。何という簡潔さなんだろう。昔の子供向け番組ははっきりしていていいね。それにしてもなんて引かれる安易なネーミングなんだろう。これはやばいと直感した。
 内容はというと、「タコラ」というぶっさいく極まりない生き物が森の住人の持ってる物を何でも欲しがり、泥棒行為を働くというもの。結局、最後はこの試みが失敗してしまって「だめりんこ」などナイスな決め台詞とナレーターで終わる。する方もされる方も全然進歩のないままワンパターンの話が毎回繰り返されるのである。
 また、「クレクレタコラ」にはタコラの他にインパクトの強い仲間達?が沢山いる。必ず語尾に「うっふん」と「あっはーん」とつける森のみんなのあこがれ「モンロ」、タコラ以上に間抜けな相棒の「チョンボ」、ブタでいるだけむだなポリ公の「デブラ」、タコラを酢だこにして食べようと頭から酢を振りまいている「トロロ」など見た目に不気味なキャラが沢山出てくる。
 そして、主人公のタコラの行動原理は言ったって簡単。「欲しい物はどんなことをしても奪え」である。時には自分の相棒なんか平気で裏切ったり、弓矢で攻撃したり、ポリさんの銃を奪って平気で発砲しまくったり、ある意味サイコな危ない奴である。よく毎回死人が出ないものだと感心する。
 ちょっと考えるとドラえもん世界にも似ているが、幼児向け番組とはかなりかけ離れたブラックネタの宝庫である。リンチや処刑、半殺し、銃殺、万引き、傷害、殺人未遂、誘拐などの行為を明るくやってしまう。所々に音声の途切れる個所があるが、今では聞かれることのなくなった俗に言う放送禁止用語を連発していたのであろう。試しにインターネットを駆使しながら調べてみたら、この番組はフジテレビで1973年9月から約一年間あまり放送されていた番組であるとわかった。なるほど時代が時代やからこんな言葉が平気で出てくるのだなと変に納得した。ウェブ上ではかなり盛り上がっており、個人でホームページを作成して研究されている方が多数おられるようです。俺たちの親の世代が残してくれた偉大な遺産といえる。生まれる前の番組で、かつ地方出身者なので再放送もされず知らないまま育って悔しいぜ。俺もちょっと乗り遅れた感があるが、毎回楽しみに見守っていきたい。
 「クレクレタコラ」はかの「サウスパーク」にも負けず劣らずの一品ですぞ。

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